射手座・プロローグ

空を仰ぐと満点の星空が広がっていた。

きれいだ…。

やっと、久しぶりに、心の底から星空をみて
そう呟けた。
そんな気がした。

やっと…

やっと、

夢がかなう。

夢にまでみた、念願のこの想いが今、天井の星空に届こうとしている。

後悔なんてない。

それどころか胸の中には希望以外のなにものもない、満点の星空と同じように
美しい輝きを秘めていた。

そう…。
後悔などあるものか…。

冷たく透き通った空気をゆっくりと吸い込み、それで肺をいっぱいに満たす。

大丈夫。

もう、大丈夫だ。

そっと、
手のひらを星空にかざし、
その名前を静かに、だがはっきりと、確実に、ゆっくりと呪文のように唱えた。


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