第十三章:星の石板
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暗闇の中、人が立っていた。
暗くて顔がはっきり見えない。
男なのか女なのかもよくわからない。
僕に背を向け、何かをつぶやいている。
なんと言っているのかは聞き取れない。
と、次の瞬間いきなりこちらに向き返る。
心臓が止まりそうになる。
そこには僕の弟、明人が立っていたからだ。
表情は冷たく、いたずらっぽく笑っているがその目は憎しみと悪意に満ちているような
血走った瞳であった。
手に何か持っている。
それが鎌だと気づいた時にはすでに遅く
僕に向かって振り下ろされた後だった。
真っ暗な世界が突如、鮮血で真っ赤に染まり
僕は悲鳴を上げていた。
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